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「平成23年 年頭の挨拶」


                     代表取締役社長 篠崎 真孝

 

新年明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、健やかな新年をお迎えのことと、お慶び申し上げます。年頭にあたり、ひとことご挨拶を申し上げます。

 

平成22年は、当社が応援するカーリングの日本代表「チーム青森」が健闘した2月のバンクーバー冬季オリンピックに始まり、待望の12月の東北新幹線全線開業で締めくくられました。この間、実にさまざまな出来事がありました。平成22年の世相を表す漢字は「猛暑」の「暑」でしたが、われわれ青果業界も異常気象に翻弄された一年でした。

 

春先の低温干ばつと日照不足で地場野菜のスタートが遅れたことに加え、生育が遅れていた先行産地の残量との競合で、新年度のスタートは厳しいものとなりました。果樹においても開花期の低温、霜害がその後の収穫量に大きな影響を与えました。

 

例年よりも遅い梅雨入りでしたが、今年もゲリラ豪雨が全国で発生し、一部産地では大きな被害となりました。梅雨明けは早かったものの、7月下旬から記録的な高温が続き、近年まれにみる猛暑の夏となりました。野菜や果実では、高温による生理障害や病虫害が多発し、品質の大幅な低下を招きました。その結果、収量が大幅に減少、当市場への入荷数量も大きく落ち込みました。一方、長引く不況による消費の冷え込みに、猛暑による需要減退が重なり、にんじんや西瓜など一部の品目を除き市況は伸び悩みました。入荷の減少分を単価の上昇で補うことができず、「入荷減の単価安」という我々卸売業者にとって最も厳しい販売環境が続きました。

 

しかし、30年に1度といわれた異常気象は、秋冬野菜や秋冬果実の生育を大きく阻害し、残暑もようやく落ち着いた9月中旬以降は、販売環境は一転して「品薄、単価高」の様相を顕著に見せ、りんごや地場野菜などの産地背景に恵まれた当社は、大幅に取扱金額を伸ばすことができました。春から夏にかけての収量減、単価安によって大幅な収入減を覚悟していた生産農家も、秋の好相場でほっと一息をついたようです。

 

年末の土壇場で、天候の回復によって出荷量が増えた野菜は、暖冬による需要不振もあって再び単価安となり、まさに天国から地獄となりました。果実は、主力の温州みかんが裏年で品薄基調だったことに加え、食味良好なこともあって荷動きがよく、年越し在庫がほとんどない状態で新年を迎えられ、年明けにも期待ができる状況で販売を終了することができました。

 

平成22年1月から12月までの年次取扱高は、入荷数量は7万8千トン(前年比92%)に減少したものの、前年比116%という単価高に救われ、取扱金額は前年比106%の149億円となり、年間9億円の増収となりました。これは、平成15年の合併以降の最高取扱高となります。買い手の皆様には、不作時においては生産農家の所得保障の観点から、豊作時においては再生産価格の担保という観点から、価格形成に特段のご配慮をいただき、本当に感謝をしております。

 

しかしながら、30年に一度という異常気象によるものとはいえ、入荷量を1割近く落としたということは、卸売業者として開設区域への供給責任を十分に果たせなかったということであり、お取引先の皆様に多大なご迷惑をおかけすることとなりました。この場をお借りしましてお詫び申し上げます。本年は、産地との信頼関係を一層強化し、正確な生育状況や出荷見込み等の産地情報を迅速に収集し、安定供給と適正な価格形成に努め、お取引先の皆様によりご満足いただけるような市場運営を目指してまいります。

 

中央卸売市場は、生鮮食料品という極めて重要な食料を、開設区域内外の消費者に安定供給するという、公共性の高い社会インフラであります。昨年秋には仲卸店舗の全面改修工事および卸売場の耐震補強工事も完了し、供用が開始されました。今回の施設整備により、衛生面、安全面での市場の機能強化が図られました。開設者ならびにご尽力をいただいた関係各位の皆様には、心から感謝申し上げる次第です。

 

本年より第9次の卸売市場整備基本方針に基づき、5年後の平成27年度までを計画期間とするあらたな整備計画がスタートします。今回の整備基本方針の中では、将来の需給予測や、市場としての役割と位置づけを踏まえて、開設者と事業者が一体となった卸売市場全体としての経営戦略の策定が求められています。当市場が今後ともさらなる発展を遂げていくために、市場のあるべき姿とそのためになすべきことを明確にし、開設者と業界がその実現のために力を合わせて取り組まなければならないということです。私どもが取り扱う青果物は生産量、需要量ともに減少する厳しい環境にありますが、みんなで力をあわせ、知恵を絞ってこの難局を乗り切っていきたいと思います。

 

今年の干支である「卯」は、ぴょんぴょん飛び跳ねる躍動感を感じさせ、相場の跳ね上がりを期待させます。今年一年、皆様が健康で元気でありますように、また、それぞれのご商売のご繁盛をお祈りして、年頭のご挨拶といたします。

 

                     平成23年1月5日



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